「ホワイトチャペル」チップ
次期Pixelスマホ向けに、コードネーム「Whitechapel」と呼ばれる5nmプロセスのチップが開発されていると伝えられていて、社内では「GS101 – Google Silicon chip」と呼ばれています。
このチップは、3つのクラスター構造を持ち、TPU(Tensor Processing Unit)によって機械学習を支援、最新アプリケーションでのAI体験を向上させます。
GS101は8コアのチップで、2つのA76コアがハードウェアの大部分を占めています。残りの半分は、4つの小さなA55コアで構成されます。
GPUには、ARM社の “Borr “デザインが採用されるようです。
モデムについては、Qualcomm X60またはX65が活躍することになるでしょう。
搭載機器について
リーク情報によれば、このチップは、Pixel 5とPixel 4A 5Gの後継機に搭載される可能性が高く、2つの次期Pixelデバイスに搭載される可能性があります。
(これらの端末のコードネームは「Raven」と「Oriole」で、どちらもサムスンのExynosプラットフォームを参考にしたSliderプラットフォームを採用しています。)
少なくとも2021年10月に発売される予定のPixel 6には、最新のGoogleチップが搭載されることが予想されています。
もう1つのデバイスはPixel 5Aの可能性もあります。しかし、Googleは、チップ不足のためにPixel 5Aの発売を中止したと報道されています。
つまり、Pixel 5AにGoogleのチップが搭載されるのが遅くなるか、Pixel 6がGoogleの自社製プロセッサを搭載する唯一のデバイスになるか、という2つのシナリオが考えられます。
ハードウェアチューニングできるということ
スマートフォンのチップを自社開発する最大のメリットは、ハードウェアとソフトウェアのチューニングをより細かくコントロールできることです。
これにより、優れたバッテリー最適化、RAM管理、チップの機能の正確な制御などのメリットが得られます。
例えば、チップの機能を限定的にコントロールできるサードパーティ製チップを使用したハードウェア的に優れたデバイスと比較して、低いメモリとバッテリー容量から最大限の効果を得ることができます。
サポートの期間を伸ばせる利点
また、Googleの長年のパートナーであるQualcomm社のサポートタイムラインでは、アップデートサイクルを3年間のみに制限しています。
そのため、競合他社であるアップル社が6年、あるいは7年のサポートを提供しているのに対し、グーグル社は3年までのサポートしか提供できない状況にあります。
Google社(および他のOEMメーカー)は、最低でも4年間のサポートを提供することが可能ですが、クアルコムのサポートスケジュールがそれを妨げています。
調達コストをカットできるということ
自社製のカスタムSoCを搭載することの最も明白なメリットは、コスト面での優位性です。
つまり、従来のように他社SoCを調達することで発生していたコストを抑えることができ、デバイスのコア機能の最適化に活用でき、より優れたユーザーエクスペリエンスを実現できます。
これにより、コストパフォーマンスの面で考えれば、競合他社と同等の性能を発揮することができる可能性があります。
他社の最新SoCとくらべて
ひとつ注意しなければならないのは、Whitechapelプロセッサは純粋な自社開発ではなく、サムスンのSLSI(System Large-scale Integration)部門が、グーグルと共同でチップを開発するということです。
コアとなる処理コンポーネントは、多かれ少なかれARM CortexやMali GPUと同様のものになるでしょう。
Exynosは、その開発プログラムにおいて大きな進歩を遂げていますが、A14 BionicチップやSnapdragon 888 SoCの実力にはまだ及ばない状況です。
GoogleのWhitechapelチップが、ゲームを変えるような性能を発揮するのは、当面、先の話になるでしょう。
まとめ
5nmプロセスを採用したチップの開発に莫大な資金を投入することと、そのチップから最大限の性能を引き出すことは全く別の話です。
調整のためには何年もかけてミリ単位で改良を重ねる必要があり、グーグルは長い時間を覚悟しなければなりません。
アップルやクアルコムは、チップが本来の力を発揮できるように、ここ数年で多くのことを行ってきました。
したがって、アップルやクアルコムと肩を並べるスマートフォン用プロセッサーを開発するには、何か特別なものが必要となるでしょう。
Whitechapelのチップは、Pixelデバイス、そして最終的にはChromebookのための微調整に数世代を要しても、驚くことはありません。
しかし、チップを一から作り、ソフトウェアと同期させることは、計画通りに進めば、間違いなく今後数年間でグーグルに大きなアドバンテージをもたらすことになるでしょう。